日本企業の年功型賃金や雇用慣行

2011.12.23

日本企業の年功型賃金や雇用慣行はこうしたやり方の典型的例であるといえる。こうした賃金雇用慣行は日本に特有なものではなく、企業特殊性の高い人的資本蓄積の行われる企業や職種では多かれ少なかれ一般的に認められる現象である。ここで注目すべきことは、bからcにいたる働きざかりの期間は、企業が労働者にその貢献よりも低い賃金を支払っているわけだから、労働者が企業に対して事実上資金を融資しているのと同じ効果があるという事である。

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企業はもちろん通常金融機関から資金を借りて企業活動を行っているが、日本の企業は高度経済成長時代には年功型の賃金こ雇用制度を活用して、従業員から事実上資金提供を受けて企業の成長を促進したとも考えられるのである。そうであるとすれば、そうした従業員が年配になってからは企業はむしろその借入資金を返済すべき立場になっているはずである。かつては高度経済成長時代に大きく成長した日本の大企業の多くはこの時代に大量採用した人々を労働力としてもまた資金供給者としても活用してきたと解釈することができる。それが平成不況に入り、大量採用をした人々の人件費負担が大きいからと言って、彼等を人員整理の対象とするとすれば、それは暗黙の長期契約に対する一方的な違反ということになるだろう。これまでの雇用制度下で培われたそうした暗黙の長期契約の期待感を裏切ることは、中高年の当事者を失望させるだけでなく、先輩のそうした扱われ方を見ている後続の従業員の企業に対する期待感を著しく傷つけ、モラルを著しく低下させる危険がある。