「間接差別の法理」によれば、パートなど非正規雇用と正規雇用の格差は問題になりそうだが、日本の現行の制度で、これを違法とすることはないのだろうか。日本の法制度は、イギリスのように細かく性差別の成立する要件を定めておらず、単に、「女性であることを理由として」賃金において不利益な取り扱いをしてはならないとか、「性別を理由として」差別してはいけないといった抽象的な定めをおいているにとどまる。そのため、一見、性に中立的な基準が適用されたときでも、実質的に性差別と判断されるときには、これらの一般規定に基づいて法律に反すると判断できる。
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したがって、労働時間に関する基準の設定と運用が、実質的に差別と考えられるような場合においては、賃金差別を禁止した労働基準法四条や、その他の募集・採用から定年退職・解雇に至る差別を禁止した改正均等法六条に基づいて、是正させることができなければならない。残業や深夜労働の可否や程度を基準として待遇に差異を設けることにより、実質的には女性が不利益を受ける場合において、そのような基準によって待遇を決める合理性の有無が問われることになる。均等法七条は、省令に列挙された基準については、欧米で問題にされている「相当程度の不利益」をもたらす基準かどうかは個々に検討し、判断するまでもなく、使用者が合理性を立証できなければ差別として是正を命じるというものだ。均等法は、実質的な差別の是正を広く対象とするものであり、厚生労働省令に定める基準に限って行政権限を発動して是正させるというものではないと解釈する必要がある。こうした法律の解釈運用を行うことによってのみ、均等法は、国連女性差別撤廃委員会の勧告の内容を満たすことができる。